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前陣速攻 田中田中田(たなかだなかた) 第一章 I bet my life.
204X年。近未来中学の教壇に先生が立つ。夏休み前、最後のホームルームだ。
通知表をインタラクティブアイウェアに転送された子どもたちは、青くなったり、赤くなったり。親元にもすでに転送されているので、逃げ場はない。夏休みは目前だ。みな、そわそわして、先生が話し終えるのを待っている。
「最近、違法脳スキャンで二次元の世界に入っていけると悪質なデマが流れています。お脳のアップロードは自殺です。絶対ダメです。先生との約束ですよ。では良い夏休みを」
キーンコーンカーンコーン。
「やったー」「夏休みだ!」「わー」
「みんな! 夏休み前最後のインタラしようぜ」
「おー、やろうぜ! 田中!」
駆け出す男の子たち。田中に続いて教室を飛び出してゆく。
「田中の野郎、弱いくせに」「目立ちすぎだよね」「カモにしてやろうぜ」
双子の美少年が教室の影の中でささきあった。半袖半ズボンにネクタイ。誰も二人の見分けがつかないから、二人で兄弟で白黒反転したデザインだ。ついた仇名は白黒兄弟だ。
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