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「あなた、落ち着いて聞いてね……私は大丈夫だし覚悟も出来てるから」
俺はこんな話の切り出し方をする夏子を初めて見て意味もなく動揺していた。
夏子はそんな俺を軽く見てから更に続けた。
「私ね、乳癌なんだって。それもステージスリーでリンパにも転移してるから そんなに長くは生きられないみたい……」
頭が真っ白になるってのはこういう事を言うのか……
「間違いないのか!?」
俺の声は自分の意思とは関係無く震えていた。
しかし、夏子はどこまでも強く綺麗だった。
「大学病院を3軒回って全部同じ結果だったから間違いないわ。
その上で、私が死んだ後、操さんて方と再婚する事にも反対する気はないわ。
ただ、絵理奈と翔太の事だけは別!
操っていう人に絵理奈と翔太を育てられる事だけは許せない!」
夏子は初めて見せる程の激しい表情で言った。
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