プロローグ

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藤原琴音、22歳。 私は極度の人見知りで、小さな頃から人と話すことが苦手だ。男女関係なく、人を前にすると緊張して頭の中が真っ白になってしまう。 自分の顔が真っ赤になっていくのが分かるから、それだけでも恥ずかしいし、何を話せばいいかも分からない。 小さな頃は一生懸命友達を作ろうとしたし、話の輪に入ろうと努力もした。でも、皆の中にいると、一人でいる時よりも孤独感が強くなる。 小学校高学年の頃にはほとんどの時間を自分の席で本を読んで過ごすようになった。 本を読んでいる時は本の世界に飛び込んでいて、現実の世界に私はいなくなる。 現実の私では絶対にできない行動や持つこともない思考。まるで、自分が自分ではなくなる経験ができる。 だから本が大好きだ。 そんなこともあって、私は短大を卒業後、それまでバイトをしていた本屋に就職した。 面接でしどろもどろになっている私を優しい目で見守ってくれ、私の本好きを汲み取って採用してくれた店長さんには仕事でもって恩を返さなきゃと思っている。 そんな静かな私の日常に颯爽と風を吹かせて現れたのは、静かな空気を纏う大人の男性だった。
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