第2章 恋に邁進せよ

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1日の勤務を終えて、制服のエプロンをロッカーに仕舞い、店長さんに挨拶をする。 夜となった今も蒸し暑いだろうな、なんて思いながら自動ドアを抜けると、目の前には分厚い雨のカーテンが下りていた。 「凄い雨。傘持ってないのに」 駅までは近いけど、走っていくには激しい雨だった。 「待つしかないかな」 溜息を零して、ぼんやり雨を眺めていると、私の名前を呼ぶ声が聞こえた。 「藤原さん?」 「はい、何で」 黒崎さん!? のんびり返事してる場合じゃない! 今日も今日とて、見目麗しい黒崎さん。 暑い季節でもスーツをシャキッと着こなし、それでも涼しげな雰囲気を持っている。 「どうしたの?」 「私ですか!?」 「他に誰がいるの?」 黒崎さんはそう言ってクスクスと笑う。
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