うちの猫たち

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 しかし、中は綺麗なものであった。ひょっとしたら、虫の類いはいたのかもしれない。だが、ネズミなどの害獣のいるような気配はなかった。まあ、奴らも僕なんかに見つかるほど愚かではないだろうが。  いずれにしても、ジョニーの屋根裏探索の目的が何なのか、当時の僕には分からなかった。  ところが、謎が解ける日が来てしまった。  その日は休日であり、僕は昼間に目を覚ました。あくびをしながら、周りを見回す。しかし、猫たちの姿は見えない。どうやら、外に遊びに行っているらしい。僕は起き上がると、顔を洗い歯を磨いた。  その時、ナアと鳴く声が聞こえた。猫が帰ってきたらしい。  玄関を見ると、猫専用の出入口からヴァネッサが入って来ていた。ヴァネッサは「ナア」と僕に挨拶をした後、とことこと歩いていく。  ヴァネッサは奥に進んで行くと、ある部屋で立ち止まり天井を見上げた。そして「ナア、ナア」と鳴き始めたのだ。まるで、親しい友人に語りかけるかのように。  僕は首を傾げた。ヴァネッサは人懐こい猫である。しかし、言うまでもなくそこには何者もいない。ヴァネッサは、いったい何をしているのだろうか?  僕は近づいてみた。しかし、ヴァネッサは僕を完全に無視している。何もない空間に向かい、なおも「ナア、ナア」と鳴き続けているのだ。  ようやく僕は気づいた。ヴァネッサは、そこに何かの存在を感じ取っているのだ。それも、彼女が親しげに挨拶するような何者かの存在を……。  背筋が寒くなり、僕は思わず後ずさっていた。確かに、そこには何かがいる。ヴァネッサは、その何かを見つめているのだ。  形容の出来ない感覚に襲われながら、僕は天井を見上げた。その時、ある考えが頭に浮かぶ。  天井の板を外し、僕は屋根裏を覗きこむ。中は暗くて見えない。しかし、間違いなく何かがいる……。  手にした懐中電灯で、中を照らしてみた。  そこには、一人の女がいた。  殺したはずの、あの女が――
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