前書き

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前書き

最近、自分が堕落しきった人間だと常々感じる。 それは文豪や哲学書のような「精神的」堕落ではなく、それは例えば、不健康な食生活であったり、人と喋るのが億劫に感じて部屋から出るのを拒むこと出会ったり、あるいは勉学なんぞにいっさい手をつけず、小説家を気取って文を徒然と書いて1日を終えたりと、もっと「現実的」な堕落である。 もちろん、私は薬に手を出したこともないし、パチンコなんぞのギャンブルにも興味を持たない。 だがこうした最底辺の住人たちのための「遊戯」にすら臆病になって手を出せないあたり、私は「クズにもなりきれないクズ」、という中途半端な人間のレッテルを自らに貼っている。  しかしだからといって死のうとも思えず、ただ過去の自分と照らし合わせたとき、ひどく自分が落ちぶれた人間に思われ、そうしてそれを小説なんぞに吐露して満足して、自らの一切を変えることをしないのだから、ひどくたちが悪い。 「ダンゴムシ」、それは今の自分を明確に表すものだと思われる。 普段は瓦礫や岩の下に隠れ、一度敵に見つかれば、コロンと丸まって身を守る。 彼らの本能的修正であり、別段そこに意味はないのだが、ついぞそれを自分と重ね合わせてしまうものだ(これもまた「切り落とし」のサガなのだろうが)。 全てから逃げ回り、そうしてどんなに窮地に陥っても、丸まること以外をしない。 今の自分は、彼らのように、ひどく無様に思われるのだ(ダンゴムシには失礼なのは、お許しいただきたい)。 だから今回、私はまた、自らの醜態を、「ダンゴムシ」に重ねて晒そうと思う。 絶望的な日常に、それでも希望を信じて歩まんとする少年少女たちに、そしてもはや縋るものも何一つない我が人生に、栄光と挫折あらんことを。
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