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そうしてお外に出ます、一面に広がる荒野、荒野、荒野。
僕は地図もコンパスも持っていなかったけれど、意気揚々と歩みを進め、ロックなんぞを口ずさみながら、当てのない旅を始めるのでした。
空にはまだ太陽が昇っていて、見渡せば、ちらほらと綺麗な花がたくさん咲いていました。
少しずつ少しずつ、見つけたお花を摘み取りながら歩いていると、数人の旅人と出会いました。
彼らもまた、花を摘み取りながら歩いているらしく、僕は声をかけて、彼らと旅をすることにしました。
途中で酒を嗜み、途中で寄り道して山を登ったり、途中でご飯を作ったりと、色々して、僕は心底楽しかったのですが、長い長い荒野の旅ですから、1人、また1人と土へと帰っていって、気がつけば、僕はまた振り出しに戻っていました。
「灰から灰へと、塵から塵へと」
同じ言葉を何度も繰り返しながら、太陽が沈みかけた荒野を、また1人さまようのでした。
持っていた花の束はいつのまにか枯れてしまい、仕方がないのでマッチで燃やして灯代わりにしました。
それでも少し先の道は一切見えず、そのうち花が燃え尽きて、火は僕の体を焼くのだけれども、仕方がないので、その明かりを頼りに、一歩一歩歩んでいきました。
「灰から灰へと、塵から塵へと」
背中から順番に灰になっていって、そうしてお空が真っ暗になって、無限に荒野が続くんじゃないかと思ったとき、僕もまた、彼らと同じで土へと帰りました。
でもその土は、あの牢屋の中でも荒野でもなく、風が塵になった僕を運んだので、どこの地だかよくわかりませんでした。
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