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トウェンティセブン
今日は特別な日だ。
特別な日だ?
日だ?
日だった?
「はい!!きましたー」
「嫌です」
「聞いてください」
「嫌ですってば」
「あなたは今から、二十七歳です」
「ぎゃーーーもうなんで言うの!!!ヤダ、ヤダ、ヤダーー」
注文したばかりの生キウイサワーが喉に染みる。
深夜0時の居酒屋はまだまだ五月蝿い盛りで、私のバカみたいな悲鳴は雑音に掻き消された。
楽しそうにけらけら笑いながら漬物を摘まむ由加里は、私より三ヶ月先に同じ壁を乗り越えている。
ストレートの黒髪は、こんな時間でも綺麗にすとんと絡まることなく落ちている。
「ひどい。なんでそんなひどいこと言うの」
「ただの事実なんですけど」
「それが嫌なんじゃーん」
そのまま項垂れると、鼻で笑われた。
二十七年前の本日、私はこの世に生を受けました。
なんて、他人事のように思う。
時間も時間でお腹も空いていないのに、体がアルコールだけは欲していて順調に取り込んでいく。
胃と足の裏が熱を持ってふわふわするのが楽しい。
となりの個室部屋には、学生が複数人いるようで、注文お願いしまぁぁす、と、若い男のがなり声がうるさく響いた。
「眩しいです…」
「少なくとも5年は前だかんなー」
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