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1.別れ
清々しい真っ青な空に、じめじめとしたむし暑さ。
山々に囲まれた村の隅に寂しく佇む一軒家。
夏の訪れとは裏腹に、その空間だけピタリと時が止まったようだった。
「おばあちゃん……」
布団に横たわったままの老婆は、目を閉じてまるで眠っているかのように見える。
蒼白くなった肌に触れると生がこの世から離れてしまったことが伺えた。
土曜日の朝、いつものように朝食を作り終え祖母を起こそうと寝室に入る。そこで祖母が既に息を引き取っていることに気づいたのだ。
幼い頃に交通事故で両親を失い、1人で私を育ててくれた唯一の肉親。つい最近まで元気だった祖母は、高齢で気温の変化による体調不良を昨晩訴えていた。
後悔と悲しさが深く心に突き刺さる。
恩を返すことも彼女の最期を共に過ごすことも出来ず、そして自分の身寄りが誰一人いないことが酷く孤独を感じさせた。
嬉しいこと、苦しいこと、寂しいこと、全てを話せた最愛の祖母。
突然の別れに心が粉々になりそうだった。
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