小さな幸せ

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「いただきます」  ぱしっと手を顔の前で合わせて食べ物への感謝を伝えてから美味しそなきつね色に焼けたトーストにマーガリンを塗りぱくりと食べる。紅茶を一口飲んだ後ふぅと小さく息をついた。 「ん~~!おいしい」  普段はトーストを作る時間も惜しいので焼いていない食パンにハムを乗っけて後は牛乳だけだったり寝坊したときは何も食べずに昼に沢山食べればいいやという生活をしているので、久しぶりに食べるトーストと紅茶の組み合わせがとても幸せに感じた。そのまましばらくのんびりと食事を続ける。 「ごちそうさまでした」  そう言った後紅茶を飲んで一息つき、洗濯物を干したあとどうするか考え始める。まだ昼というには早い時間なので、このままのんびり家で過ごすのもいいし梅雨のなかで久しぶりの晴れなのだから外出もいいな…と考えながら食器を流しに運ぶ。食器を洗って水切り台に立てて手を洗い、そのまま洗面所に移動して歯を磨いて顔を洗う。  綺麗になった洗濯物を洗濯機から取り出してカゴに放り込みそれらを抱えて窓辺に向かいベランダへ続く窓を開けると、外は思ったよりも暖かいことに気付く。洗濯物を竿に干して洗濯ばさみで留めたあとカゴを地面に下ろし大きく深呼吸をして「よしっ」と勢いをつけるように声を出す。 「今日は一日ゆっくりと過ごそ!」  こんないい天気なのだから外に出ないともったいないかなとも思ったが、そういえば前に大学帰りに寄った本屋で購入した好きな作家の新刊がまだ読めずにバッグの中に眠りっぱなしだなと思い出したために今日は一日家で本を読んだりしてのんびり過ごそうと決めた。  洗濯物を入れていたカゴを洗濯機の横に戻してから寝室に戻り、本を手に取ってリビングへ向かう。ソファーの置いてある場所がちょうど日の当たる場所のようでそこに座るとほかほかと心地の良い暖かさを感じることが出来たためそのソファーに腰掛けて手に持っていた本を開き読み始めた。
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