10話 一瞬の夏、一生の記憶

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「あれだな、逆方向の変化球が欲しいな」 「逆方向ですか?シュートとかでしょうか?」 「ああ、カーブだけじゃ右バッターからしたら内に入ってくるから、引っかけさせてゴロを打たせにくいが、シュートやスクリューがあれば外に逃げるから引っかけさせやすくなるはずだ」 唯斗は、只々笠原さんの説明を真剣に聞いていた。笠原さんが整備をしながら聞くように言った 「シュートの握りとか知ってんのか?」 「いいえ、よくわかりません。一度やってみたことがあるのですが、握力がいる肘に負担がかかるのでやめてしまったんです」 唯斗は、トンボを動かしながら答えた 「なるほど、挟む方の投げ方か…。よし!挨拶終わったら、ブルペンに集合してくれ。俺がシュートの投げ方を教えてやるよ」 笠原さんは笑顔でそう言った。唯斗は、時間も遅く驚いたが、ありがたかったので迷わず「はい!」と返事した
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