5章

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長年苦手意識していた人と、こんなに甘い関係になるとは思っていなかった。 仕事はめちゃくちゃ厳しくて、ぶっきらぼう。本当に苦手だった。 そんな人が、私を好きになってくれて、長年の私のコンプレックスを吹き飛ばし受け入れてくれるなんて夢にも思わなかった。 誰でもはきっとできない。彼方さんだからこそできたんだ。 それくらい、私の中で彼方さんの存在が大きくなっている。 そんなことを考えながらじっと見つめていたら、 「なに?」と不思議そうに聞く彼方さんがきいてきた。 私は「なんでもないです」と答え、彼方さんに抱きついた。 彼方さんは、信じられないくらい2人きりにはすごく甘い時間をくれる。 だから、月曜日からはじまる厳しい仕事のことは、今は忘れて甘いひと時を味わいたい。 また厳しい彼方さんに戻ることも、今は忘れたい。 私が「今日と明日は甘えていいんですよね?」と彼方さんに首に手ををまわして、尋ねると「そう、とことんね」と彼方さんは耳元で囁いた。 そして、彼方さんは舌をからめて、深くて甘いキスをくれた。 「今日は手加減したから、今夜は手加減なしね」と彼方さんはニヤリといった。 「え!?、手加減なしなんて無理ですよ!」 と私はいったが、彼方さんは手加減する気はないようだ。 「ひなから、攻められるのもいいな」とか、もう今夜のプランを練っていることに驚いた。私は、体がもつか心配したが、また彼方さんと愛し合えることに喜びを感じた。 気が付けば日が昇っていた。 カーテンを開けたら、蒼穹の空が広がっていた。 「彼方さん、見てください、朝焼けですよ」 「あぁ、本当だ、綺麗だな」 「いい天気になりそう」 「でも、ひなの方が綺麗だ」と甘い声で囁いてくれる彼方さん。 「もう……」といいながら、私は彼方さんにキスをした。 この朝焼けに向かって私は願いを込めた。 この空のように広い心を持つ彼方さんと、この甘い関係がいつまでも続くようにと。 「彼方さん……大好きです」 「俺も大好きだよ、ひな」 ~END~
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