2章

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成瀬先輩は涼しい顔して、ききながしてメニューを見ずに 「マスター、俺、キール」 とササっとオーダーした。 しかし、私はメニューを見るがどれがいいかさっぱりわからない。 それを察したのかマスターが 「若宮さん、お勧めはエンジェルキッスだよ」 とさりげなくアドバイスしてくれたので 「それにします」といった。 マスターが横にきてこっそり「あなたに見惚れてますって意味だよ」と言われたときはさすがに真っ赤になった。なんで、初対面のマスターにわかっちゃうわけ?っと心がざわついた。 マスターがさらに 「夕食食べてないなら今夜のお勧めは明太子のクリームパスタだよ」 といったので、 「じゃあ、俺、それ頼もうかな」 「私もお願いします」 とオーダーすることにした。 マスターは私たちのことを見ながら終始ニコニコしながら、カクテルを作っていた。 成瀬先輩はさっきマスターが耳打ちしたことが気になっていたらしく 「マスターなんていったの?」 「え!その~、飲みやすいカクテルだよっていってくれたんです」 「ふーん…」と納得いかない顔をしていたがなんとかごまかせた。 「あなたに見惚れてます」なんて言われたとは恥ずかしくていえなかった。 でも、成瀬先輩にこの想いが今夜少しでも伝わってほしいなぁとこそり思った。
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