2章

7/9
前へ
/38ページ
次へ
オーダーされたカクテルがきたので、 「お疲れ」「乾杯」といって口をつける。 オーダーした明太子のクリームパスタは絶品で、 「おれ、これ好きなんだ」と成瀬先輩がいったのも納得のおいしさだった。 「マスター、これ、おいしいです」と私がいうとにっこりマスターが 「看板メニューなんだ」とおしえてくれた。 お腹が空いていたから、なおのことクリーミーな味わいが胃を満たしてくれた。 それからは、関西支社の話・掛け持ちしている新規事業の話に花が咲いた。 関西ならではの風習や、乗り突っ込みについていけなかったこと・関西支社での仕事の規模はけた違いだったからとまどったなど、成瀬先輩にも苦労があったんだなっとを聞きながら、真剣に聞いたり、笑ったりと楽しく話を聞いた。 4月に戻ってきてからこんなにゆっくり話をしたの初めてかもしれない。 7年間の空白期間を埋めるように、私たちは次第にうちとけて話し込んでいった。 新人の頃は厳しい印象だった成瀬先輩も、柔らかい顔をして私に話しかけてくれるんだと、思っただけで私の心は満たされた。 それから、私の仕事ぶりもほめてくれた。 関西支社でも、若手の私が実績が上がっていることに注目されていたようだ。 成瀬先輩にも難関だった企業を訪問できるようになったことを、 成瀬先輩は「よくやったな、担当者がおじさんだったからかな!?」と笑って話してくれた。 ゆっくりとした時間がながれる。こうして7年の時間を埋めるこの時間が愛おしい 。
/38ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加