5章

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こんなにゆっくりと時間をかけて、抱かれて達したのは初めてだ。 私のコンプレックスも、彼方さんが優しく抱いてくれたおかげで解消された。 彼方さんのぬくもりにつつまれながら、私は安心しきっていつの間にか眠っていた。 翌朝4時。私は目が覚めた。 起きたときに、行為後特有のけだるさが昨日の行為を思い出させる。 若干、体も違和感があるが、今までと比べ物にならないほど行為の痛みはなく、気分もすっきりしていた。 すると、 「おはよう」と片肘をついて寝転んでいた彼方さんが私にあいさつしてくれた。 「おはようございます、先におきていたんですか、彼方さん?」 「ひなの寝顔が見られると思うと、嬉しくてたまらくて眠れなかった」 と彼方さんは笑顔をみせてくれた。 「すくなくとも今日と日曜はみられる」 「今日、お、お泊り決定なんですか?」と私が焦って尋ねると、 「お泊りの荷物は朝食後で取りにいくからそのつもりで。週末はひなを独り占めしたいんだ」と、はにかみながら、彼方さんはいった。 ベットから起き上がって昨日散らばった服をとって、身に着けようとしたときに、 「なぁ、ひな」と彼方さんが声を発した。 「一言いっとく」と、彼方さんは真面目な顔をして私をみた。 「仕事の時は、悪いけどきっちり線引きする。そこは今まで通りの関係だ」 仕事に厳しい彼方さんらしいけじめを聞き、納得した。 仕事で返事をするときと同じように「はい、わかりました」と私は返事をした。 「でも、この家にきたらひなをとことん甘やかす。もっともっとひなを堪能したい」 と優しく甘い声で彼方さんはいった。嬉しくなって、私は笑顔で「はい!」と答えた。 「というわけで、もう一回」と彼方さんは不敵な笑みを見せた。 「えっ、は、はい!?」と私は慌てた聞き直した。 「俺とひなとは相性がいいみたいだし、まだまだ全然足りないんだよね」 と彼方さんはニヤりと笑った。 「ダメ、ひな?」とおねだりして彼方さんは、また服を脱がしにかかって、 私の唇に首に背中にキスを繰り返した。 「シャワーに入ってからなら……」と恥ずかしながら私がこたえると 「じゃ、俺もシャワー浴びたらね」といって2回戦をするはめになった。 「2回目はもっとやさしくするから」と宣言どおり、さらに甘く彼方さんは抱いてくれたので、私は満ち足りた気分になった。
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