2章

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4月1日 成瀬先輩が戻ってきた。 社内は歓迎ムードで一色だ。新卒の女の子たちは色めきたってざわついている。 朝のミーティングであいさつがあった。 「関西支社からもどってきた、成瀬です。またよろしくお願いします」 一斉に「おかえりなさい」と拍手がわきおこった。 前と変わらず席も私の向い。7年前と同じ光景がもどってきた。 思わず、私は感傷にすこしひたってしまった。厳しいながらも、一生懸命に指導してくれた成瀬先輩がもどってきてくれたことが、うれしかった。 営業に向かう前に休憩室でコーヒーを飲んで一息ついていると 「久しぶりだな」 と成瀬先輩が声をかけてくれた。 「ご無沙汰してます」と緊張して思わず声が上ずった。 「関西支店でも、若宮の評判は伝わっていたよ」 「えっ!?」  これにはさすがに驚いた。 「難攻不落の会社を若宮が何社も発注をとりつけたそうだな。福岡支社の日報をよくみていたからな。多少の福岡支社の情報は把握している。がんばっていたんだな」 がむしゃらに半分泣き落としでねばって提案をしていたものもあったし、その提案が受け入れたときは嬉しかった。その話が関西にまで届いていたとは、夢にも思わなかった。 「若宮とまた一緒に仕事ができるといいな」 「そうですね、成瀬先輩と仕事がしたいですね」 いつか、一緒に仕事ができたら、成長した姿をみてもらいたい。 7年前よりも一段と色気を増した成瀬先輩を、まっすぐに見ることが出来なくて伏目がちに返事をした。 正直にまた仕事ができるといいなっ、と私も思っていた。 さっそく戻ってきた成瀬先輩は、新規事業開拓を手掛ける社内中心プロジェクトに参加していた。 7年前とかわらず、相変わらずテキパキ仕事をこなす成瀬先輩は変わらずすごかった。 社内の女性陣の評価は急上昇。 「相変わらず、男前よね」と澪が笑いながらいったのも、私は素直に同意した。 7年前より、ずっと逞しく、大人の色香がただよっていた。私が知っている頃の成瀬先輩よりずっとかっこよかった。
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