店長とJK

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――――……どうやら、うたた寝をしてしまったらしい。 とても不愉快な夢を見たせいだろうか、鏡を見ずとも眉間にしわが寄っているのがすぐ分かった。 目の前にはまだ入力箇所が残っているパソコンのモニター画面。 そうだ、私は来月のシフトを制作している最中だった。 「あ、店長起きました?お疲れみたいですねぇ」 「あー…ごめんね、仕事中に寝ちゃうなんてなぁ。店長失格だわ」 「何言ってるんです。店長、最近ほとんど出勤してるじゃないですか。少しくらいあたし達バイトに任せて、お家でゆっくりするべきですって」 バックヤードに新しい布巾を取りに来たアルバイトの咲良ちゃんが、心配そうに眉を下げる。 どうやら私が寝ているのを見て、起こさないでいてくれたようだ。 アルバイトの子にまで気を遣わせてしまうなんて、本当に店長としてどうなんだろうか……。 「今はお客さん少ないですし、店長はもうちょっと寝てて下さい!」 「いや、流石に仕事中にはもう寝られないよ。でも、心配してくれてありがとね」 疲れているのは確かだ。だけどそれを表に出さずキビキビ動くのが、本当に出来る敏腕店長なんだろう。 ひよっ子店長の私には、まだまだそんな立派な事は出来ないらしい。 私が、オーナーである母の建てたこのカフェ『ミストラル』の店舗責任者を任され、早いもので二年が過ぎようとしている。 お客様の目線に立って、美味しいコーヒーと自慢のケーキを提供するのが売りのうちは、お陰様で雑誌に掲載して貰える程のお店にまで成長する事が出来た。 まぁちょっとした記事程度だけど。 最近ではここのケーキが凄く美味しいと、県外からも店に来てくれる人が多くなってきた程だ。本当に嬉しい限りである。 だから私が疲れているのは、逆に有難い事だと考えるべきなんだろう。
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