店長とJK

6/9
644人が本棚に入れています
本棚に追加
/308ページ
昼から置きっぱなしの冷めたコーヒーを啜って、自嘲気味に笑う。 情けないぞ私!若者を羨んでる暇があればもっと自分磨きに励むべし! 「……店長は、お休み貰ったりとかしないんですか……?」 「んー?まぁあれば休むだろうけど、結局やる事なくてゴロゴロしちゃうし、だったら働いてた方が良いかなぁと」 まぁ32歳で独身貴族の女なんぞ、仕事も旦那もなけりゃ、休日にやる事なんてテレビ見て寝転がるくらいしかない。 正直そういう時間の使い方があまり好きではないので、休みは滅多に入れず仕事ばかりしてしまう。 いい加減親も諦めたのか、全く男の存在を匂わせる様子がない私にここ最近『さっさと結婚せんかい!』と言わなくなったのは有難い。 もうこのまま一生お一人様人生を歩む計画を立てている私は、休みを貰った所で持て余してしまうのだ。 「でも、たまにはリフレッシュとか必要じゃないですか?オンオフの切り替えって大事です!」 「そ、そうかな?まぁそうだろうけど、別に出かけたい所もないしねぇ……」 「だったら!え、映画とかっ!どうですか……?歩かないし、ずっと座ってられるから落ち着くと思います」 「映画?うーん、ここ何年も見に行ってないなぁ。今面白いのやってるの?」 何気なくそう聞いてみると、突然片桐さんはドキッとしたような顔で少し俯く。 え?何、どうしたのいきなり……。私変な事聞いてないよね……? 「えっと……店長は、サスペンスとか好きですか……?」 「サスペンスドラマとかはよく見るから好きだよ」 「本当ですかっ!?あのっ、じゃあ、もし良かったら、良かったらでいいんですけどっ……」 「うん」 「……ら、来週の日曜日、店長がお休み取れたら、一緒に映画見に行きませんか……?」 ………………うん?
/308ページ

最初のコメントを投稿しよう!