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昼から置きっぱなしの冷めたコーヒーを啜って、自嘲気味に笑う。
情けないぞ私!若者を羨んでる暇があればもっと自分磨きに励むべし!
「……店長は、お休み貰ったりとかしないんですか……?」
「んー?まぁあれば休むだろうけど、結局やる事なくてゴロゴロしちゃうし、だったら働いてた方が良いかなぁと」
まぁ32歳で独身貴族の女なんぞ、仕事も旦那もなけりゃ、休日にやる事なんてテレビ見て寝転がるくらいしかない。
正直そういう時間の使い方があまり好きではないので、休みは滅多に入れず仕事ばかりしてしまう。
いい加減親も諦めたのか、全く男の存在を匂わせる様子がない私にここ最近『さっさと結婚せんかい!』と言わなくなったのは有難い。
もうこのまま一生お一人様人生を歩む計画を立てている私は、休みを貰った所で持て余してしまうのだ。
「でも、たまにはリフレッシュとか必要じゃないですか?オンオフの切り替えって大事です!」
「そ、そうかな?まぁそうだろうけど、別に出かけたい所もないしねぇ……」
「だったら!え、映画とかっ!どうですか……?歩かないし、ずっと座ってられるから落ち着くと思います」
「映画?うーん、ここ何年も見に行ってないなぁ。今面白いのやってるの?」
何気なくそう聞いてみると、突然片桐さんはドキッとしたような顔で少し俯く。
え?何、どうしたのいきなり……。私変な事聞いてないよね……?
「えっと……店長は、サスペンスとか好きですか……?」
「サスペンスドラマとかはよく見るから好きだよ」
「本当ですかっ!?あのっ、じゃあ、もし良かったら、良かったらでいいんですけどっ……」
「うん」
「……ら、来週の日曜日、店長がお休み取れたら、一緒に映画見に行きませんか……?」
………………うん?
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