Ⅱ 思い出

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(絵本…読んでくれるってとおさま言ったのに!早く読みたい!) アスランはどうしても本を読みたくなった。しかし父とデイビスの話はまだまだ終わりそうにない。とうとう我慢出来ずにエルドラの方へ歩いてエルドラの服の裾を軽く引っ張った。 「ん?なんだ?」 エルドラにキッと睨まれアスランは顔を真っ赤にしてしまったが、勇気を出して抱えていた絵本をエルドラに突きつけた。 「あっ…あのっ…絵本…読んで…くれませんか?ボク、まだ読めなくてっ!」 ふ~んと言ってエルドラは突きつけられた本を取りパラパラとめくった。 「良いよ。この国の言葉なら分かる。読んであげる」 エルドラの一言にパァーッと表情が明るくなったアスランは飛び跳ねながら父とデイビスの間に割り込んだ。 「とおさま!あのねっ!絵本読んでくれるって!エっ…エルドラ君が読んでくれるって!」 「そうか…良かったねアスラン。お部屋に行って一緒に読んで貰いなさい。後でメイドにお菓子を持って行かせるからね」 「うん!有難う!おじさんも有難う!エルドラ君!こっちだよ!お部屋に行こ!」
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