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Ⅳ 悲しい決断
また1週間が経ち、紳士にキャンドルを売る日が来た。
今日の会えると思うと、アスランも少し気分が高まっていた。籠に入れたキャンドルを持って出かける準備をする。
「じゃあ、母さん。行ってくるね」
外へ向かおうとドアに向かって歩いていく。ノブに手を伸ばしたが、アスランは違和感と不安を感じて立ち止まった。
何だかおかしい…
いつもならこの時間はまだ母は起きている。小さな声でも部屋のドアを開けて『行ってらっしゃい』と声をかけてくれるのだが、全く聞こえない。寝てるのかと母の寝室をノックしたが、反応がない。
やっぱりおかしい!
ドアを思いっきり叩き、母を呼ぶ。ドンドンとドアを叩く音が響く。
「母さん!どうしたの!母さん!…開けるよ!」
ドアを開けて母を探すと、ベッドの横で胸を押さえて蹲っていた。アスランは母の元へ駆け寄った。
「母さん!どうしたの!!」
母は苦しそうに胸を押さえたまま動かない。母を抱き上げベッドに横にさせる。熱はなさそうだが、汗を大量にかいている。カップに水を入れ、薬を飲ませるが、落ち着く様子はない。
「ちょっと待ってて!すぐお医者さん呼んでくる!」
アスランは外に飛び出し、病院に向かって全速力で走り出した。
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