Ⅴ 決行の日

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Ⅴ 決行の日

数日後、キャンドルを紳士に売る日が来た。 (とうとうこの日が来た…) 今までなら紳士に会えるのがとても嬉しかったのに、今日は朝から気分が冴えない。時間が経つにつれてどんどん気分が重くなる。 (そろそろ行かなきゃ) 重い腰を上げて、キャンドルを入れている籠を手に取る。今日は籠の中には何も入っていない。 「母さん。行ってくるね」 無理矢理笑顔を顔に貼り付け母に声をかけた。ドアが開き、母が顔を出す。 「行ってらっしゃい。…アスラン…顔色悪いけど大丈夫なの…?」 笑顔でいるつもりだったが表情に出ていたようで、母の心配する声が返ってきた。 (そういえば『お前は感情がわかりやすくて、コロコロ変わって面白い』なんて言われたな…) 「大丈夫だよ!ちょっと疲れただけ。じゃあ、行ってくるね!」 「アスラン……お前ばっかり無理させて…ごめんなさい…」 「母さん!それは言わないで…あの日から僕は父さんに変わって母さんを守るって決めたんだから」 「アスラン…」 まだ何か言いたそうな母を無視してアスランは外へ出た。     
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