Ⅴ 決行の日

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「すみません…今日はキャンドルがないんです…」 「売り切れたのか?先週も買えなかったから欲しかったのだが…残念だ…まだ残っていたと思うが…他の日には用意できないか?」 アスランは俯いたまま何も言わなかった。 しばらくして重い口を開いた。 「いえ…最初から持ってきてません」 紳士の顔が険しくなった。 「どういう事だ?」 さっきまでの優しい口調が消え、低く冷たい声がアスランの耳を貫く。手足が震え、金縛りのように口が動かない。アスランは勇気を振り絞り紳士を真っ直ぐにみて言った。 「キャンドルではなく………僕を買って下さい!」 アスランの決断… それは紳士に男娼として自分を買って貰う事だった。     
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