Ⅴ 決行の日

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「どういう意味だ?」 「言葉通りの意味です。僕を買って下さい!」 「理由は?」 「お金が必要なだけです!キャンドルを売るだけでは足りないから僕を買って下さい!」 「その理由を聞いてるんだ!何故急に金が必要になった?」 「言えません」 紳士の口調がどんどん早くなり、声が低くなる。機嫌が悪い時の話し方だ。相当怒っている…矢継ぎ早の質問にアスランも迷わず答えた。 紳士はアスランの前に仁王立ちになり、質問を続ける。 「もし、俺が買わないと言ったらどうするつもりだ?」 「買ってくれない時は………今すぐ娼館に行って貴方以外に買って貰うだけです…」 娼館に行くのは最終手段だ。初めて娼館に足を運んだ時の恐怖を思い出す。どちらにしろ紳士に買って貰えないなら、母の薬代の為にも男娼になるしかないのだから… 紳士に買われるか?初めて見る知らない人に買われるか?それだけの事だ… (でも…初めてはこの人に…愛する人に…エルにあげたかった…他の人には抱かれたくない…だからこうするしかなかった…) 卑怯な方法だとは分かっている…恋人としてでは無くても…男娼と客としてでも…たった2週間でも…貴方と結ばれたい…     
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