Ⅵ 最後の夜

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「おい…帰るのは風呂に入って少し休んでからでもいい」 エルドラが休む様にアスランに手を伸ばすと、アスランはその手を払いのける。 「………大丈夫です。有難うございました。明日…来ます…」 アスランはフラフラしながらドアを開け、エルドラの部屋から出て行った。 ◆◆◆ 本当は優しく抱いてやりたいと思うが、本人を目の前にすると理性の糸が簡単に切れて歯止めが効かなくなり、つい欲望のままに抱いてしまう。 毎回やり過ぎたと反省し、少し休んで帰る様に伝えるが少年は頑なに拒否する。 朝一人で起きる度になんともいえない寂しさと苛立ちが込み上げる。一度でもいいから朝まで一緒に居たいと少年の意識が無くなるまで抱くが、朝になると居るのはエルドラのみで、少年の姿はない。 ベッドサイドのテーブルには、銀貨が入った小さな袋が置いてある。 袋には銀貨が入っている。枚数は数えていないが大体20~30枚ぐらいだろう。 最初の夜、少年に中身を見せた時は『えっ?』と驚きの声を出した。 『俺が決めた金額だ。売値は俺に任せると言ったよな?』 『…はい…』 金が必要だからとエルドラに身体を売る交渉をしてきたのだ。実際、何のためにどれだけ金が必要なのかは分からないが少しでも助けになればと多めに入れている。     
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