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Ⅶ 手紙
◆◆◆
朝起きたら少年の姿は無かった。
(またこっそり帰ったな…結局一度も朝を一緒に迎えられなかったな)
エルドラは荷物をまとめアールトンに戻る準備をした。
エルドラは父の後を継いで宝石商になった。今回は宝石の買い付けと新しく建てた原石の加工場を完成まで監督していた。父もまだ現役で色んな場所に買い付けに行っている。
宝石商になっていつかナギの街に行くのが小さい頃からの夢だった。やっと子供の頃に交わした約束を果たす事ができる。
ドアをノックして秘書のカイエンが入って来た。
「お早うございますエルドラ様。車を用意しましたので荷物をお預かりします」
「ああ、頼む。加工場に寄って駅に向かう。社長に見せる用に原石の加工をお願いしてある」
「承知しております」
カイエンが用意した車に乗り、エルドラは加工場に向かった。
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