Ⅶ 手紙

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◆◆◆ 列車が出発して1時間ぐらい経った頃、エルドラの乗る1級車両の部屋にノックがされた。 1級車両は個室の様になっていて、ベッド、ソファ、テーブルも付いている。部屋がそのまま走ってる様な感じだ。エルドラはソファに座り本を読んでいた。秘書のカイエンは『走ってる列車で本を読むと酔ってしまいますから』とテラス席に行っている。 「失礼します。車掌のサンと申します。エルドラ・ジャスパー様の席でお間違えないですか?」 「ああ。何か用か?」 エルドラはドアを開けず、低い声で答える。切符の確認は乗ってすぐにカイエンと一緒にしている。それ以外で車掌に呼ばれる様な覚えが無いからだ。 「ルズベリッジの駅で雑貨店の者からエルドラ様宛の荷物をお預かり致しました」 「雑貨店…?心当たりが無いが、人違いではないのか?」 「いえ…確かに『15時発のアールトン行きに乗るエルドラ・ジャスパー様に渡して欲しい』と…頼まれたキャンドルだそうですが…心当たりございませんか?」 (キャンドルと云えば一人しか思い当たらない。この列車に乗る事もアイツにしか教えていない…) エルドラはドアを開け、車掌から紙袋を受け取った。     
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