Ⅶ 手紙

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ガンッッ!! 子供の頃の約束をした記憶を思い出した途端、エルドラは手紙を握りしめたまま力一杯テーブルを叩いた。ワインが入ってあったグラスが床に落ち、赤い染みが血の様に床に広がっていく… (嘘だ…嘘だろ…なんで俺は今まで気づかなかった!) 頭の中に色んな物が一気に入ってくる様な感じで処理が追いつかず眩暈と頭痛がする。頭がクラクラして胃から込み上げてくる吐気に口元を押さえた。 (アイツは気づいていたんだ!俺がエルだって事に…なのに…俺は…俺は!) 雪の降る公園で見かけた時、目が離せなかったのも… 怒った後冷静になってワタワタしてコロコロ変わる表情が面白かったのも… 他愛もない会話をするのが楽しくて嬉しかったのも… 会えなくて寂しくて…路地を探し回ったのも… 会って抱きしめたくなったのも… 理性を保てず欲望のままに抱いてしまったのも… 一度でいいから朝まで一緒に過ごしたいと思ったのも… また仕事が落ち着いたら戻って来て会いたいと思ったのも… 「………全てアスランだったから………」     
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