Ⅱ 思い出

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黒い髪を後ろに流し、切れ目だがオニキスのような美しい黒い瞳。父より体格が大きいが、荒っぽさは感じない。ブラウンのスーツを身に着けた長身の紳士がそこにいた。 そして…その横にもう一人… アスランより頭二つ分くらい大きくて黒い髪、丸く大きな瞳が綺麗な少年が立っていた。 アスランよりは年上だろう。こちらをキッと睨むような目線だったが、何故か恐怖を感じなかった。 それどころか (…お友達になりたい…) とその少年から目が離せなかった。 「はい。4つになる息子のアスランです。まだ幼くてノックもせずに入ったご無礼をお許しください。…ほら、アスラン。ご挨拶は?」 父に肩をポンと押され、アスランはまごつきながらも挨拶をした。 「あっ。あのっ…あっ…アスラン・ヴァンフィールドですっ。…おじさん…さっ…さっきは…ごめんなさい…」 挨拶をしたアスランは顔を真っ赤にして俯いてしまった。 おじさんと呼ばれた紳士はアスランの前に膝まづき、アスランの髪をくしゃっと大きな手で撫でた。 「よくできました。じゃあ、おじさんも自己紹介しないとね。おじさんの名前はデイビス・ジャスパー。そこにいる男の子は息子のエルドラだよ。ほら、エルドラも挨拶しなさい」
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