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そう言われて男の子の方に目を向ける。エルドラと言われた男の子はこちらを真っ直ぐにみて
「エルドラ・ジャスパーです。8歳です。学校が休みなので、こうやって父と一緒に色んな街に出て勉強しています。1週間よろしくお願いします。」
と最初から練習していたかの様に一気に喋り、大きくお辞儀した。
(ん?1週間?)
アスランはエルドラの言った『1週間』という言葉が気になり、父に聞いた。
「とおさま…1週間って?」
「ああ。ジャスパーさんは宝石商で東のアールトンから来られていているんだよ。この近くで原石が採れるらしくて、視察に来られているんだよ。ナギには宿があまり無いからね…ウチで1週間泊まって貰うことになったんだよ」
「そういう事で1週間宜しくね。アスラン君」
デイビスは太陽の様な笑顔でアスランの髪をもう一度撫でた。
アスランがコクっと小さく頷くと、デイビスは父と会話をし始めた。
エルドラはデイビスの側でつまらなそうに立っていた。
(とおさま…絵本…)
アスランは絵本を読んでくれると思っていたが、父はデイビスとの話に夢中になっている。どうして良いのか分からず、そのまま絵本を抱えたまま立ち尽くしてしまった。
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