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咲田先生の自転車を借り、学校の坂道を風を切って下る。
全速力で漕ぎまくり、現場に到着すると、スーパーの事務室には、B組の生徒が総勢14名。
輪の中心には、クラスでも大人しく控えめな甲府梨花。
彼女が犯人だと訴える店長を遮って、関静哉が、
「オレたち、全員が犯人です」
と居直っている。
「後から来たのに何を言ってるんだ」
怒る店長に平謝りし、警察を呼ぶのだけは、と説得した。
反省文の提出と出入り禁止を条件に、なんとか折り合いをつける。
謝りすぎて、喉がカラカラになった。
スーパーから出ると、私は14名全員をファミレスに連れて行き、何が起こったのか、把握しようとした。
けれど、甲府梨花が盗ったのがコーンポタージュだったこと、彼女をかばうならできるだけ大人数のほうがいいと呼び掛けたのが関だったこと、くらいしか聞き出せなかった。
「そんなことより、霞ちゃん、腹減ったよー」
関が空腹を訴え、
「そうだよ、そもそも、あのあとすぐ帰れたのに」
「拘束時間に対する報酬を要求しまーす」
残りの生徒も便乗する。
「はあー? 私が行かなければ、どうなってたと思うの? 友情もいいけどやりすぎだよ」
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