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二人はこちらをうかがいながら話しこんでいる様だ。
「では、あちらの太っちょの青年で・・・」
「わかりました」
耳をそばだてると、少し会話が聞こえた。
ふとっちょ、なんて本人が聞いたら気を悪くするだろう。僕は太っちょさんを目で捜す。
だが通るのはスレンダーな人ばかり。
「あのーすみませんが」
「わ!」
急に声をかけられてビックリした。
「あの」
女性の方が話しかけてくる。
近くで見ると、西洋のエキゾチックさと、東洋のたおやかさを感じさせる、なかなかの美人だ。
彼女は栗色のロングヘアを少しだけかきあげて、僕をまじまじと見つめる。
彼女の黒い瞳に僕が写る。縮尺が小さくなった僕はコロンとしたゆるキャラみたいだった。
彼女は逡巡しているようだったが、意を決すると言った。
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