プロローグ。

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今日は特別な日だ。俺が主人公になれる日。 今までの俺は何をしても上手く行かなかった。中学ではいじめられ、希望してた高校には落ちた。初めてできた彼女には罰ゲームだったとこっぴどく振られ、親友は高二で転校。大学ではやり直そうとしたけど上手くいかなくて。 それ以来、俺は大事な人を作らないようにしている。作ってもう傷付きたくない。 「なぁ、高橋。お前確か今日用事ないよな?これよろしくー。」 「え、僕は……「おっ先に失礼します!!」……。」 社会人になっても俺は変わることがなかった。後輩に都合よく使われ、定時で帰れた日なんか数える程しかない。 「なんで俺だけ………」 呟いた言葉は誰に聞かれるとなく空に落ちた。でもいいんだ、今日は俺は主人公なんだから。 急いで仕事を終わらせて駅のホームに行く。よかった、まだ終電には間に合ったようだ。 駅のホームは殺風景で俺の他に制服を着た女子高生しかいない。その娘もスマホに夢中で俺を見ていない。 やっと、この日が来たんだ。誰にも邪魔されてたまるものか。 女子高生と少し距離を取り、黄色い線より外側で待つ。そわそわしたら駄目だ。これが最初で最期の俺のステージ。上手くいくように何度もイメージトレーニングしてきた。大丈夫、俺はやれる。 ブザー音が鳴り響く。電車が近づいてくるようだ。 「さよなら、世界。」 俺は今日、自殺する。
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