生命体

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 最大出力のシャワーをかけても、びくともしない。  ナメクジ、お前、しぶとく壁にへばりつきやがって……  何か、何か使えるものはないか!  ナメクジに直接触るなど、自殺行為である。  私はお風呂のすみに置いてあった、歯ブラシを手に取る。  二本の歯ブラシを箸状にして、ナメクジをつまもうとする。  ナメクジは触られたところがくすぐったいのだろうか、身体を縮める。  この動き、無脊椎動物特有のこの動きが、私は嫌いなのだ。  そういえば、ナメクジに神経はあるのだろうか?  いや、いくら無脊椎動物でも、さすがに神経ぐらいはあるだろう。  考えるのはやめよう、考えるだけで虫唾が走る。
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