これはいつもの事ですか?

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 *** 「僕はその……名刺にある通り、小さな会社の社長で」 「ふうん」 「従業員は二十人もいないし、業績もさほど良くなかったんだけど、最近は債務超過で危うく不渡りが出そうになるくらいで」 「……」 「えっと、つまり」 「倒産寸前五秒前、みたいな?」 「――っ」 「あ、抉った」  心月が深くうなだれる。マジごめん、とさすがに伊月が反省した。  本当はいけないけれど、ドリンクバーでホットコーヒーを入れ、心月の前に差し出す。砂糖とミルクもつけてみた。温かい湯気と香りに誘われて、ミルクだけを入れて、心月がコーヒーをすすった。 「まあそんな感じで。だから今日は……今日こそは資金調達とか、新規業務とか……多方面にアポを取って、一つでも成果を上げないといけない日だったんだ」  すでに銀行からの期限が切られていた。最後通牒を突きつけられたも同然だ。  なのに。 「夜明けと同時くらいに目は覚めた。でも、支度だって終わっていたのに――目の前が真っ暗で、動けなかった。で、気づいたら遅刻の時間だった」     
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