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一六〇センチの伊月より、頭一つ違う身長と細めな体。自分だって美人でもないから、二人揃ってモブなレベル、と、かなり失礼なことが頭をよぎった。
「で、何の用?」
「ぅ、と、その……」
「うんうん」
「ば、馬鹿にされるかもしれないんだが」
「内容による」
「……っ」
「いーから。続き続き」
「今日……」
「うん」
「の朝に」
「うんうん」
「……」
黙ってしまった心月を、じろっと見上げて先を促す。うぐ、と唾をのんで、深呼吸をしてから、少し身を乗り出す。つられて、伊月も前のめりになった。
抑えた声が、囁く。
「の、乗り過ごしたはずのバスが、戻ってきて乗れたんだ」
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