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 慌てて口を挟んだ和真を、美里は冷静な瞳でひたと見る。その瞳が言わんとすることを察して、和真は腰が引けた。医者がなだめるように、もしくは、優しく諭すように和真に語りかけた。 「和真くんが、深青さんに定期的に力を補給するというのが一番の方法ではないでしょうか。なにより、意識的にであれ、無意識的にであれ、深青さんに選ばれたわけですから。――もちろん、嫌だというなら拒否権はあります。その場合、代わりの者を探す必要がありますが」  強制はしない――と口では言いつつも、それは和真にとってほぼ決定事項と言えた。深青は大事な幼馴染だ。その彼女に必要とされていて、拒むわけにもいかない。 「わ、かりました……でも……」  美里にちらりと視線をやる。いいんですか、と問いかけるように。まだ思春期ともいえない娘が定期的に異性と口付けるなど、親として認められるのか。そんな質問を含んだ視線を、美里はあっさり跳ね除ける。 「必要とあれば仕方ありません」  美里の端的な判断に、和真はあらためて認識した。この人は、里で最大の権威を誇る香山一族を統べる当主の奥方であり、それ相応の胆力を備えた強者(つわもの)なのだと。  この日から、和真と深青の夜の逢瀬は一日も欠かされることなく続けられた。
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