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 中学の制服を脱いだ深青の室内着は着物だ。落ち着いたえんじ色が彼女の繊細な容貌に映え、十五歳という成長過程のあやうさと相まって、薫るような色香を感じさせる。これからすることを思うと、もはや慣れたこととはいえ、のどが渇くような緊張を覚えるのはいかんともしがたい。  そっと深青の表情をうかがえば、淑やかなれと日頃教えを受ける彼女の緊張は和真とは質を異にしており、羞じらうように視線を畳の端にさまよわせていた。  こういった場面において、口火を切るのは男側であるべきだ。信念を持ってそう考えているわけではないが、羞じらう深青から行動を起こさせるのは意地の悪い所業に思われる。だからいつも和真からその手を引く。  膝に載せられた手に触れると、深青はぴくりと震えて和真を見た。 「体調は大丈夫か」  硬い表情で小さく頷いたのを見て、安心して彼女の身体を引き寄せる。頬に手を添えて、睫毛の本数が数えられそうな距離で視線を絡めた。手のひらをとおして、彼女の頬が徐々に熱を持つのを感じる。至近で見つめる照れた深青の表情は、罪深いほどに可愛かった。  じれったいほどの緩慢さで唇を触れ合わせる、深青が恐れることのないように。深青の唇はいつも、温かくて、柔らかくて、けれど緊張のために少し固くなっている。ほぐすように、ついばむような口付けを繰り返す。 「ふ、ん……」     
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