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ぴくん、と身体が震えた。続けて、くすぐるような刺激を与える。
「あ、あぅ………っ……はぁ……」
弱点を攻められた深青は、とろけるような反応を見せた。服にしがみつくだけだったはずの手は和真の首にまわされ、しなだれかかる身体はふるふると感じいっている。こうなるともう、行為に対するはじらいや抵抗は忘れ去られて、彼女はひたすら和真の為すことを受け入れるのみとなる。
舌を絡めて擦り付け合い、かき出すように舌の裏をなぞる。舌の裏も彼女の弱いところだ。
「んぁ……かず、ま…………かずま…………」
泣き出しそうなほど甘えた声で呼ばれて、その頼りない身体を畳に押し倒してしまいそうになるのをすんでのところで耐えた。かわりに、強く抱擁する。そうして和真は、これまでも何度も繰り返してきたように、彼女の身体の柔らかさを全身で堪能するのだった。
縁側のすぐ外に並べておいた靴に再度足を通したときには、すでに脱いでから一時間ほどが経過していた。口付けを終えてからあらためてその時間を確認すると、どれほど自分が深青に夢中になっていたかを思い知らされて、気恥ずかしくなる。
「おやすみ、和真」
戸の内側で和真を見送る深青の着物には、来たときと同様、一分の乱れも見あたらない。
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