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「…………それを説明させるんですね……。だからつまり……お嬢様が和真先輩に恋心を抱いているとか、和真先輩も実はまんざらでもなく思ってるとかですよ……そういう、より深い情が、お嬢様の力の源になるってことなんだそうです」  だから、台風の夜も僕らはあまり心配していなかったし、実際二日くらい平気だったんですよ、と続けられた言葉は、だがしかし、和真の意識をすり抜けていった。 「な……」  と、漏らした音に続けたかったのは、なぜそれを、という疑問だった。しかしその言葉は、口を無意味に開閉するだけで、声にはならなかった。代わりに、身体中の血液が頭に集中したのではないかというほどに、顔が熱くなる。秘めていたつもりの想いをさも当然のごとく指摘され、和真の頭は真っ白になっていた。 「………………‥………気がついてたのか……?」 「気がつかれていないつもりだったんですか?」  ようやく発した台詞を、年下であるはずの文也にざっくり切り返される。恥ずかしさでのたうち回れそうな気がした。 「……まあ、和真先輩にこの話が行ってなかったってことなら、お嬢様は気がついてないんでしょうね? よかったですね?」  おそらく他の人はみんな気が付いてますけど、と実に文也らしいフォローは、果たして慰めるつもりがあるのかないのか。     
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