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 深青が身をよじってわずかな抵抗を見せる。朝だからか、それとも、家族たちを心配させておいてこんな行為に浸ることに罪悪感があるからか。どちらにしても、和真はもう止まれなかった。 「ごめん、無理、待てない」 「ん……おまえ…………」  舌で、唇で、深青を感じ、責め立てる。無駄な会話などできぬくらいにぴたりと唇を合わせて、舌を絡めた。深青の弱いところを探っては、柔らかくなぞる。彼女がどんな口付けを好むかは、この五年の間に知り尽くしている。和真の巧みな動きに陥落した深青の身体は、抵抗する力を失って、ただ与えられる刺激のままにぴくりぴくりと反応を返す。  嚥下しきれなかった唾液が彼女の口元からこぼれるのを舐めとって、ようやく和真は深青の唇を解放した。和真の身体の下に組み敷かれた深青は、上気した顔を恥じるようにそらした。 「どうして……お前。昨日は、無理だと言ったくせに……」  官能的な口付けのあとの一言めは、いじけた可愛い恨み言にしか聞こえなかった。もちろん、彼女がその実、本気で和真の真意を計りかねているのはよく分かっている。しかしそれなら、和真としても言いたいことはあった。 「深青こそ、なんで俺に黙ってたんだ。数日あいても平気かもしれないと医者に言われていたこと」  深青はぐっと口元を強張らせて、「文也だな……」と小さくうなった。     
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