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ポケットから取り出された何かが、教卓に叩きつけられる。金明先生は溜息を漏らし、緩やかに首を振った。
「タバコか」
「中に吸い殻も入ってる。証拠はこいつだ。まだフィルターが湿ってんぜ。俺がサボったのは二時限目だけだし、休み時間に吸うほど馬鹿でもねぇ。しかも智田が死んだのは三時限目のチャイムだろ。よぉ、これでも疑うってのか?」
目を閉じ、先生は考え出した。そして数秒もしない内に判断したようだ。
「……難しいな。鮫島が屋上で吸っていた可能性まで否定できない。アリバイが無いのは、それだけで隙になる。その間に何かの仕掛けをしていたとしても不思議じゃない。二限目の担当教諭が俺なら、出欠確認もいじれたんだろうが」
「俺は屋上になんか――」
「だから鮫島、お前は俺と居たことにしろ」
珍しく口調を荒げて、先生は鮫島くんの台詞を遮った。意表を突かれた鮫島くんは、その場で固まっている。
「このまま警察が調べ上げれば、お前のアリバイは無いに等しい。今みたく意固地な奴ほど勘ぐられるからな。最悪、やってもいないのに自白まで追い込まれるかもしれない。だから鮫島、お前は俺と居たことにしろ。生徒指導の名目で、タバコを証拠に挙げる」
「いや、待てよ、それじゃアンタが」
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