探偵気取りの学級担任

14/19
前へ
/19ページ
次へ
 ポケットから取り出された何かが、教卓に叩きつけられる。金明先生は溜息を漏らし、緩やかに首を振った。 「タバコか」 「中に吸い殻も入ってる。証拠はこいつだ。まだフィルターが湿ってんぜ。俺がサボったのは二時限目だけだし、休み時間に吸うほど馬鹿でもねぇ。しかも智田が死んだのは三時限目のチャイムだろ。よぉ、これでも疑うってのか?」  目を閉じ、先生は考え出した。そして数秒もしない内に判断したようだ。 「……難しいな。鮫島が屋上で吸っていた可能性まで否定できない。アリバイが無いのは、それだけで隙になる。その間に何かの仕掛けをしていたとしても不思議じゃない。二限目の担当教諭が俺なら、出欠確認もいじれたんだろうが」 「俺は屋上になんか――」 「だから鮫島、お前は俺と居たことにしろ」  珍しく口調を荒げて、先生は鮫島くんの台詞を遮った。意表を突かれた鮫島くんは、その場で固まっている。 「このまま警察が調べ上げれば、お前のアリバイは無いに等しい。今みたく意固地な奴ほど勘ぐられるからな。最悪、やってもいないのに自白まで追い込まれるかもしれない。だから鮫島、お前は俺と居たことにしろ。生徒指導の名目で、タバコを証拠に挙げる」 「いや、待てよ、それじゃアンタが」     
/19ページ

最初のコメントを投稿しよう!

3人が本棚に入れています
本棚に追加