探偵気取りの学級担任

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「朝練で早くに登校した生徒が目撃し、騒ぎになった。俺が来た頃には後始末の最中で、何が起きたのかまで分からなかった。当然その日の授業は全て中止だ。今日みたいにな。担任から事件を聞いた直後は、けたたましいサイレンの音が耳を離れなかった」  今も遠くから、パトカーの警報が鳴っている。それは学校へ向かっているように近づいていた。 「そいつの自殺は明らかだった。屋上には遺書が残されていたそうだし、理由もはっきりしていたからだ。いじめ――結論から言えば、いじめに遭っていた。じゃなきゃ、わざわざ学校での自殺なんてしないだろう。しかし遺書に加害者の名前が無かったのが、さらに問題を大きくした」  教室中の視線が金明先生に集まる。無粋な横槍なんて入らない。その教訓は、これから僕等に待つ定めかもしれないから。 「学校側は、いじめの事実を否定したんだ。最悪なことに、生徒個人の家庭環境や精神状態を疑った。人付き合いが薄いという点じゃ、智田と同じだったしな。誤魔化せると思ったんだろうよ」 「それで、どうなったんですか?」と女子の一人が先を促す。 「……ああ、そいつの両親は猛反発。弁護士を雇い裁判沙汰になって、警察の捜査も進み、学校側は非を認めざるを得なかった。校長、教頭は責任を取って辞任。教師の何人かも訓戒処分の後、辞職に追い込まれた。いやまあ、そんなことは別に気にすることじゃない」  大事なのは――と先生は語気を強める。     
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