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「線香をあげて、謝ってきました。ごめん、俺は先に進んでゆくねって……」
「そうね、そういうものなのよね……」
静かな部屋で、頼まれた書類を全部チェックすると、棚卸に行く。
そこで、静かだったので忘れていたが、岡崎が待っていた。
「上月君、弁当を頂戴」
岡崎の無精髭で、帰っていない日数が分かるようになってきた。
今の感じならば、一日だろう。
「まだ、大丈夫」
「上月君、その根拠は何?」
岡崎に絡まれながら、俺は今日も仕事に追われてゆく。
朱火定奇譚 後編 完
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