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ウェーブの掛かった柔らかい葵の髪を食んでしまわないように後ろによけて、日向はその舌を味わってゆく。砂糖ではない、舌の表面を覆ってゆくような動物性の脂の甘さが相手の口から徐々に自分の中に流れ込み、『食べたい』と本能が訴えてくる。
葵の見せる大人の余裕を崩そうと日向は髪に絡めた指を下に引いて上を向かせ、片膝をソファに乗せて真上から支配するように唇を重ねていった。
口付けが深くなるのに任せて押し倒した葵の上に跨り、彼のシャツのボタンに指を掛けた日向に葵の手が伸びて来た。口の端を撫でた指が目の前に付き出される。
白いクリームが付いていた。
差し出された指先を舐めながら「やっぱり美味しくない」とつぶやく日向に、葵が笑いをかみ殺しながら言う。
「跳ねっかえりの王子様、お手柔らかに」
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