日向と葵

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緩やかにうねる長髪を纏め乍ら脱がされるのを待っている葵にふと意地悪をしたくなった日向は、自分のシャツをおもむろに脱いだ。艶やかな肌には2日前に眼下の葵に付けられた爪痕がまだ薄く残っている。 「ああ、残っている。日向の皮膚は薄いから、悪かったね。あんまり激しくされてどうにも我慢ができなくてね」 そう言いながら葵の指先が、今度は1つ1つその痕を愛おしむように辿ってゆく。細く繊細な指の感触に、先日の葵の乱れた様子を思い出した日向は若い衝動に駆られた。 素肌に直接羽織った絹のシャツを透かして葵の薄桃色の頂きが見える。日向は腕を伸ばしてガラスの器を取ると、乱暴に生クリームを掬ってシャツの上から2か所に垂らし、それぞれを中指で一刷けずつ塗り広げた。 「っ、あ…」 シャツ越しに敏感な箇所に触れたクリームの冷たさと、もどかしい程一瞬で終わった日向の指先が生み出す痺れに、葵が甘い声を漏らす。 シャツを汚しても葵が怒らない事は知っている。いつだってそうだ、先日大事な会議があると言っていた日の前夜、激しく攻めたてて散々首筋に朱痕を付けた時だって平気な顔をしていたのだ。
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