おばあちゃんのお風呂屋さん

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おばあちゃんのことは不思議なことばかりだ。 でもその不思議なことを不思議と受け入れてから、私たちは少し楽になったみたい。 そのきっかけが、お風呂屋さんごっこだったように思う。 今日も部屋に戻ったおばあちゃんに、お母さんが麦茶を持って来てくれた。 いつもならただ「いただきます」と言ってそれを飲み干すのだけれど、今日は一口飲んだら不思議そうな顔でお母さんを見た。 「コーヒー牛乳はありませんか?」 あれ、ここはまだお風呂屋さんだったのか。 私とお母さんは、顔を見合わせて苦笑した。 「ごめんなさい、今日は売り切れてしまいました。今度はきちんと用意しておきますね」 そうお母さんが言うと、おばあちゃんはうれしそうに何度も頷いた。 おばあちゃん、お風呂屋さんでコーヒー牛乳飲んでたのかな。 昔もコーヒー牛乳ってあったんだろうか。 おばあちやんの新しい一面を知った日だった。
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