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硝子の檻から掬われて、君の指から水が滴り落ちてゆく。
君の手の中には、ぼくだけが残る。
鮮やかに、最期に輝く赤いこの身は、結婚する君への精一杯の祝福。
どうか、旅立つ前に、その手でぼくを、埋めておくれ。
その涙と一緒に、君の見えるところに。
そうしたら、笑っておくれ。
きっと綺麗な、花を咲かせて見せるから。
ああ、熱い。
力が抜けて、どんどん身体が重くなってゆく。
お別れだね。短い間だったけど、ありがとう。
君のために、この身にいつか、綺麗な花を咲かせよう。
花となり、君を想うと約束しよう。
いつか伝わるように。
君への気持ちが、ぼくの心が。
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