場違いな男

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 きてれつな三人組は口論をしながらも、土煙を上げるほどの勢いで走る。  野次馬のように集まっていた老若男女は遠ざかる三人の背中を、呆然と見送るしかなかった。 「なんだった?あの三人は」  遠巻き見ていた歩行者たちがぼそぼそ喋り始めた。 「苦情言った方がいいだろか」  唖然と見ていた歩行者たちが打って変り、べらべらと喋り始めた時。 「まー、いつものことだし。気にしたら負けだろ」  不意に放たれた一言で集まっていた歩行者たちは、さっきまで起きていたことを頭から消し、ばらばらに散り始めた。     
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