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二週間前。由良が学校から帰宅すると、花枝と由良の母である梨恵がリビングで話をしているところだった。花枝と梨恵は姉妹で、由良と椛は従姉弟にあたる。
「お帰りなさい、ユラ君。あら、その袋は?」
にこりと挨拶をした花枝は、由良の両手の買い物袋に首を傾げた。その袋には野菜や肉に卵、ぎっしりと食材が詰まっている。
「テスト期間で買い出しに行けてなかったので、帰りに済ませてきたんです」
「へぇ、偉いのね。リエ、最近余裕あるんでしょ? 買い出しくらい行ってあげればいいのに」
「お姉ちゃん、あたしだってそう言ったんだよ」
ちらりと梨恵からの視線を受け、続きは由良が口にした。
「料理も自分がするので、食材は自分で選ぶってお母さんに言ってたんです」
「そうなの? ますます偉いねぇ」
感心する花枝に、由良は誤魔化すように笑顔を浮かべた。
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