今日は特別?

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「今日は特別な日だぞおおおっ」 どう考えたって騒音公害確定のけたたましさで駆けて来る声。 あ、違うわ。 声じゃねえ、奴だ。 御近所付き合いも考えずに叫びやがって。 うわあ、通りの向こうから駆けて来るのが家の二階から見えるわ。 白亜の豪邸の門を飛び出し、白衣の裾を翻して。 毎度のこったが、チョー嬉しそ。 無駄に良い顔にスタイル、おまけに矢鱈と出来の良い頭の方は海外の有名大学を駆け足で飛び抜けて来たって。 フォックス・フォード? 狐だか車だか分からん名前のだよ。 チッ、面倒だが御出迎えしてやるかよ。 「友よっ、唯一無二の親友よっ。今日はっ」 向こうさんが勢い良く扉を開けて飛び込んで来るタイミングを見計らい、こちらもそれに相応しい対応をしてやったぜ。へッ。 ばきッ、どん、がん、ごととん。 まあったく、ここいらの家が鍵を掛けねえからこうした手間が増えるんだ。 治安が昔から良くって、おまけに田舎だから盗るもの無いわよって親も言ってたがよ。 付いていても、壊れても、使わないからってそのままなのは問題だろう。 「おい、花瓶を元に戻せ。良かったな、生憎中身が空っぽでよ」 「友よ、満面の笑みより先に靴の底が出迎えるとは斬新だな」 綺麗にスポーツシューズの底面をプリントアウトされた顔で立ち上がり、俺を友よと呼ぶ輩は丁寧に花瓶を靴箱の上に戻す。 その間に俺は両手に持ってスタンバっていた靴を降ろす。 ……十五キロは有るのを用意しといたのに、丈夫なだけじゃないか。 「特別って何だよ、いつものこったろ」 「作り上げたのだよ、タイムマシンを」 「ああ、そ。じゃ、一人で過去にでも未来にでも行って来な。あばよ」 ふんぞり返る奴の胸倉掴んで玄関の外へ追ん出す。 「まてまてまて。これを見よ、私のタイムマシンは超小型なのだ」 嬉しそうに白衣の胸元をはだける。 首にぶら下がる何かの装置。 表面にはひび割れ。
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